ブログ
コーポレートリブランディング
2024年6月初旬、
熊本県に6店舗の美容室を展開する「BOY GROUP」の役員の方からご依頼をいただきました。
内容としては
「元社員が卒業し新たな法人を設立することとなったため、協力して欲しい」とのこと。
ブログ第10段はこのコンセプト策定に於けるプロセスや成果物をまとめてみたいと思います。
他にも似たような事例はいくつもあるかとは思いますが、
今回の案件で忘れてはならない部分として「依頼主」と「新法人代表」が別という点が大きく関わってきます。
初の顔合わせの際に全員で合意を取って案件をスタートしたことはもちろんではありますが、
打ち合わせを進めていくにあたって、
改めてこのコンセプトワークを進める対象者である法人代表との目的のズレをなくすことが最重要だと考えました。
「目的」を決めずに「手段」の話ばかりすることは冒頭から避けるべきです。
私が初回の打ち合わせの冒頭で伺った質問内容は以下の3つです。
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⚫︎再度、本案件を引き受けるにあたっての疑問や不安はないか
⚫︎目標としている未来のイメージ像(芸能人など)
⚫︎現時点で何を決めるかの理解度
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この回答から見えた姿は、想定通りの部分と想定外の部分が入り混じった形となりましたが、
一言これだけはわかりました。
【細かなことはあまり良くわかっていないが、人としての芯は惚れるほど強い】
こうして見えた部分によって私の中で3つの覚悟ができました。
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⚫︎こちらが完全に引っ張っていくこと
⚫︎難しいことの型にはめず、この人の魅力を1%も欠けさせないこと
⚫︎この人の「そうそう!それ!」を必ず見つけること
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ここから「理念・ミッション・ビジョン・中期ビジョン」
4つを策定するプロジェクトがスタートしていきました。
誰しも最初に行うヒアリング。
お客様のお話を聞かずしては、何かが見えるはずがありません。
この度のように、言語化があまり得意ではなかったり、
物事を細かく考えないようなタイプの方に対しては、
これまで自然と繰り返してきた「決断」の中に、人となりや思考の癖があると考え、
「過去」「歴史」から遡ってヒアリングを行うことにしました。
時には直接的に端的に、時には敢えて回りくどくゆっくりと聞いていく。
「過去の記憶がない!」
スタートからそう言い切れる代表でもあったので、
言葉の通り深ぼっても一切何も出てこないことも多々ありました。
ただ当然のように、得た情報も計り知れません。
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⚫︎自身の性格が変わった出会い
⚫︎あまり経験するこのないことへの経験による価値観の変化
⚫︎人生の選択の際の共通点 など
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代表自身も言葉にするまでは気づかなかった、
内側の自分に気づいてもらった点もあったのではないかと思っています。
何より私としては、相手の人となりに近づけることができるこの時間を
とてもとても大切にしています。
ここからは未来の話。
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⚫︎個人的願望
⚫︎neo的願望(新設立会社をneoと言います)
⚫︎絶対にやりたくないこと
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この3つをざっくばらんに書き起こしていきます。
SNSでの安定した集客/メンバーが安心して働けるサロン作り/頭を下げてまで仕事をもらわない
よりリアルな、より人間性が滲み出る「願望」。
特に「絶対にやりたくないこと」に関しては、その人の“らしさ”が存分に出てくる感覚があるので、
注意深くヒアリングしていきます。
重要なことは「自分軸に偏りすぎてしまわないこと」。
願望というだけあって、ベクトルが自分に向きまくっている状態の方はたくさんいます。
正直で全く悪いことではありませんが、事業とはお客様に喜んでいただくことが大前提です。
私たちのような存在からのお客様目線の問いは絶対的に必要になってきます。
ここまでであらかたヒアリングは終わりです。
打ち合わせでは行わず、私1人でここまでを遡り、
じっくりと重要な部分や、実はきっかけのような部分をチョイスしていきます。
本来であればこのキーワードから理念やコンセプトを作り、
代表に見てもらうという流れに持っていくつもりではありましたが、ここであることに気づきました。
「あれ?そもそも代表ってゴールとか目的とか興味あるんだっけ?
というか引っ張ってはいるものの、とりあえず決めようとしてるだけかも」と。
これはたくさんのワードを作っている時に思いがけず、ふと気づいた感覚でした。
私が念頭に置き、最重要視していたのはミッション、いわゆる「最終ゴール」です。
でも代表は「まずは目の前のお客様。強いて聞かれたら理想はこう。」と思っているのではないかと。
これでは本末転倒です。
とりあえずのゴールは、ただのお飾りです。
全く機能しませんし、時間とお金をかけて作る必要は全くありません。
すぐに改めて代表にお時間をもらい軌道修正の提案をしました。
お伝えしたことは1つ。
「最終ゴールはまたこれから見つけていきましょう!
目の前のお客様と未来のお客様、全てに対して常に約束し続けることを決めましょう!」
代表の「そうそう!それ!」という表情を引き出せた気がしました。
他の企業と同じように進めず、その会社独自の方法で生み出すことことが価値。
ミッションとコンセプトを分けずに「ミッション&コンセプト」という形で再出発を決めたことは、
このプロジェクトの一番のポイントだった気がします。
こうしてたくさんの案から削り、微調整し、意味や背景を綿密に紡ぎ、
完成したものがこちら。
完成して思うのは
【neo】という社名に込められた想いが全てなのではないかということ。
昔を否定する訳でもなく、今を肯定する訳でもなく、
自分の道を先頭で歩き、これから増えていくメンバー全員が自分らしく進んでいけるような、
次世代の未来を創る代表の姿が思い浮かびます。
素敵なお仕事に携わることができたこと、誇りに思います。
熊本の地に新たな文化が根付くことを願っています。